相続した不要な農地をどう処分するか


はじめに
近年、少子高齢化や都市部への人口集中の影響で、相続した農地が不要となり、その処分に悩む方が増えています。本記事では、相続した不要な農地の処分方法について、法的な手続きや民間業者の利用を含めた方法を紹介します。

相続土地国庫帰属制度の利用

相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に帰属させる制度です。この制度を利用することで、不要な農地の管理や維持費用の負担から解放されることが可能です。ただし、利用には一定の条件があり、すべての土地が対象となるわけではありません。

具体的には、多額の維持・管理費用かからない土地が求められます。また、10年相当の管理費用を負担金として納める必要があります。土地によっては負担金が高額になることもあるため予め、負担金についても検討する必要があります。

時折、「利用価値のない土地は引き取ってもらえない」、「田舎の土地は無理」といった話を耳にすることがありますが、国の引き取れない土地として挙げられている条件の中に、そのような条件は含まれていないため、「田舎の土地だから」といった理由であきらめる必要はありません。

民間業者の利用

不要な農地を処分する方法として、民間業者の利用も有効です。不動産屋や引き取り業者を利用することで、スムーズに農地を手放すことができます。

不動産屋
不動産屋を通じて農地を売却する方法です。不動産屋は土地の評価や買い手の仲介を行ってくれるため、自分で買い手を探す手間が省けます。また、地域の不動産市場に詳しいため、適正な価格で売却できる可能性が高まります。

引き取り業者
農地の引き取り業者を利用する方法もあります。これらの業者は、相続や処分に困っている農地を引き取り、再利用や転売を行います。引き取り手が見つかりやすく、手続きも簡便です。しかし、手続きが簡便なために売却後の近隣住民とのトラブル等に発展するケースも少なくありません。業者の見極めは慎重に行ってください。手続き方法や契約内容についても慎重に確認するべきです。

農業委員会に相談

農地の処分に際しては、農業委員会に相談することも一つの方法です。農業委員会は地域の農業振興を目的としており、農地の利用者を探す手助けをしてくれます。農業委員会は地域の農地利用状況に詳しく、適切な引き取り手を見つけるための支援を行い、地域の農家や農業法人に農地を引き取ってもらえる可能性があります。

農地転用

農地の売買は、他の土地より売買も難しく引き取り手が少ないので農地転用からの売却を考えるのも一つの方法です。

現地を確認し農地と見えなければ転用の可能性があります。長年農地として利用していない、現況から農地利用の可能性が低い等の理由から非農地証明を出してもらうことで農地以外の地目に変更することが出来ます。

相続した農地の場所がわからない、現状どうなっているか確認したいのであれば「農地ナビ」というサイトをおすすめします。無料で農地の場所やその他の情報を検索することができます。また、法務局や農業委員会を利用しても場所を特定する方法もあります。

転用には行政の許可が必要となるため、農業委員会と連携して手続きを進めます。

相続放棄

最終的な手段として、相続放棄を検討することもできます。相続放棄を行うことで、相続による農地の管理や維持の責任を放棄できます。ただし、相続放棄をするためには家庭裁判所への申立が必要であり、法的な手続きを踏む必要があります。

また、相続放棄をするには相続があることを知ってから3か月以内という期間制限があるので注意してください。他にも不要な農地だけ放棄するということはできません。他の土地や財産、すべてを放棄することにも注意してください

まとめ


相続した不要な農地の処分には、様々な方法があります。相続土地国庫帰属制度の利用や民間業者の利用、農業委員会への相談、そして相続放棄など、それぞれの方法には利点と注意点があります。自分に最適な方法を選択するためには、しっかりと情報を収集し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

相続した農地の処分に関する不安や疑問がある場合は、ぜひ私たち行政書士にご相談ください。専門的な知識と経験を活かして、皆様の農地処分をサポートいたします。

この記事があなたのお役に立てば幸いです。疑問や質問、またはご相談がありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。公式LINEからのメッセージも受け付けております。

行政書士石川将史事務所