
相続の話を聞くと、多くの方が「面倒くさそう、考えたくないな」、と感じるかもしれません。しかし、相続は避けて通れない重要な問題です。放置すればするほど、後になって大変な思いをすることになるのです。本記事では、相続の複雑さや注意点、そしてその対策について詳しく解説します。特に兄弟相続に焦点を当て、その問題点と解決策を専門家の視点からご紹介します。考えたくない問題だからこそ、しっかりと向き合い、適切な対応を行うことが大切です。
兄弟相続の複雑さとその対策
相続という言葉を聞くと、まずは子供たちが財産を受け継ぐことを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、子供がいない場合や特定の事情により、兄弟姉妹が相続人となるケースが存在します。兄弟相続は一見シンプルに思えるかもしれませんが、実際には多くの複雑さと注意点があります。本記事では、兄弟相続の基本とその対策について詳しく解説します。
兄弟相続の基本
兄弟相続の基本的な流れは、被相続人が亡くなった際に、その兄弟姉妹が相続人となることです。法定相続人の順位では、子供がいない場合、両親や祖父母が存命であれば彼らが優先されます。しかし、これらの直系尊属が既に他界している場合に兄弟姉妹が相続人となります。

戸籍の確認とその重要性
兄弟相続が発生すると、まず確認しなければならないのが戸籍です。被相続人の兄弟姉妹の有無やその人数を確認するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。これらの戸籍を正確に確認することで、相続人の範囲を確定できます。しかし、戸籍謄本の取得は一筋縄ではいかないことが多く、そのための手続きには専門的な知識が求められます。
少し具体的説明すると、被相続人と父、母の出生から死亡までの戸籍謄本、父母それぞれのご両親の死亡が確認できる戸籍謄本まで必要になります。存命の場合には兄弟に相続権が移らないためです。集めた戸籍から、他に知りえなかった兄弟の存在がないことを確認していきます。再婚、養子縁組など、ご家族でも知らなかった事実が浮かび上がることもあります。
兄弟相続の注意点
兄弟相続の注意点として、数次相続の問題があります。例えば、被相続人が亡くなった後、その兄弟姉妹の一人が相続を受ける前に亡くなった場合、その兄弟姉妹の相続人(配偶者や子)が新たに登場します。このような状況を数次相続といいます。数次相続が発生した状況では、二重に相続手続きを行う必要があり手続きが非常に複雑になります。
また、子供のいない夫婦で両方の両親が亡くなっている場合、配偶者がなくなった時点で相続手続きを済ませていないと、夫婦双方の兄弟姉妹が相続人となるため、更に相続人の範囲が広がっていきます。このように兄弟姉妹が多い場合や相続人同士の関係が疎遠である場合、相続人全員の同意を得ることが難しくなることがあります。相続手続きを放置すればするほど相続人が増えていき、手続きがより複雑になってしまいます。

数次相続の概要
数次相続とは、相続人が相続手続きを完了する前にさらに亡くなり、その相続人の相続人が新たに相続手続きに関わることです。この状況は、以下のように複雑な手続きをもたらします。
・手続きの重複
数次相続が発生すると、元の相続手続きに加え新たに相続手続きを行う必要があるため、手続きが重複し非常に複雑になります。
・相続人の増加
新たな相続人が増えることで、遺産分割協議がさらに複雑化し全員の同意を得ることが一層難しくなります。
・費用の増加
相続手続きの専門家に依頼する場合、相続人が増えることで手続きにかかる費用も高額になる可能性があります。
専門家への依頼を勧める理由
兄弟相続は、その複雑さから専門家に依頼することが強く勧められます。行政書士や司法書士、弁護士などの専門家は、戸籍の取得や相続人の確定、相続分の計算、遺産分割協議書の作成など、相続に関する一連の手続きをスムーズに進めるための知識と経験を持っています。
手続きの円滑化
専門家に依頼することで、相続手続きが円滑に進むことが期待できます。特に、戸籍謄本の取得や数次相続の処理など、複雑な手続きにおいて専門家の支援は非常に有益です。
数次相続に対する対策
数次相続の問題に対処するためには、以下の対策が有効です。
・早期の相続手続き
被相続人が亡くなった後、できるだけ早く相続手続きを開始することが重要です。これにより、数次相続のリスクを低減できます。
・遺言書の作成
被相続人が遺言書を作成しておくことで、相続人の範囲や相続分を明確にし数次相続の発生を防ぐことができます。
・専門家への相談
前述の通り、専門家への相談は相続手続きを円滑に進めるための有効な手段です。数次相続が発生する前に専門家に相談することで、適切な対策を講じることができます。
相続手続きを放置するリスク
相続手続きを長期間放置することには多くのリスクが伴います。相続人が増えるだけでなく、手続きが複雑化し最終的には遺産分割協議がまとまらない可能性もあります。このため、被相続人が亡くなった後は速やかに手続きを進めることが重要です。
また、専門家に依頼することで相続手続きをスムーズに進めることができますが、相続人が増えるほどその費用も増加する可能性があります。これは数次相続の場合でも同様であり、手続きの複雑さと費用の両方が増加するため、早期に対応することが最善策となります。
終わりに
兄弟相続は、その複雑さから自分だけで手続きを進めることが難しい場合が多いです。専門家に依頼することで、相続手続きを円滑に進めることができるだけでなく、膨大な手続きや相続人の増加に対処することもできます。相続に関する疑問や不安がある場合は、ぜひ専門家に相談することをお勧めします。
この記事が相続手続きを考える上で少しでもお役に立てれば幸いです。。当事務所でも相続手続きに関するご相談を受け付けております。メールや公式LINEからのメッセージも受け付けておりますので、どうぞお気軽にご連絡ください。