突然の別れは、残された家族にとって大きな悲しみです。しかし、そんな時でも、遺言書があれば、スムーズな相続手続きが可能となり、大切な想いを後世に伝えることができます。
この記事では、遺言書を作成するメリットや、公証役場での作成方法、作成時の注意点について私の実体験をもとにお話しさせて頂きます。
遺言書を作るメリット
・遺産分割協議書の作成が不要になる
遺言書があれば、遺産の分配方法が明確に示されているため、遺産分割協議書の作成が不要になります。遺産分割協議書の作成には、時間と労力がかかります。遺言書があれば、相続財産の範囲が明確になるため、納税額の計算や支払い手続きがスムーズになります。
相続税は相続を受けてから10ヶ月以内に原則現金で支払う必要があるため、相続税が払えずに不動産の売却など思わぬ形で財産が減ってしまうといったリスクを減らせることにもつながります。
・自分の想いを残せる
遺言書には、財産の分配方法だけでなく、家族へのメッセージや願いなどを書き残すこともできます。残された家族にとって、あなたの想いを直接感じられる貴重な財産となるでしょう。
・特定の人に財産を多く残せる
遺言書があれば、特定の人に財産を多く残したいという希望も叶えることができます。例えば、「妻に全財産を残したい」というような場合にも有効です。
公証役場で遺言書を作成する方法
まずは公証役場に電話しましょう。メールでもいいです。とてもやさしく丁寧に今後の流れや必要な書類などを教えてくれます。
それから、担当の方との面談の日取りを決めます。必要書類については先に用意しても面談後に用意しても構いません。
茨城県の日立公証役場では、印鑑証明と戸籍表(私の場合は、妻と子供に相続させたいので全部事項証明書)、ほか、相続させたい者の戸籍表、不動産を持っている人は土地・家屋の評価証明書又は納税証明書、それから証人となる者の住民票を求められました。
また特定の人にいくらずつ、といった細かい振り分けを考えている場合は、通帳の提出も必要となります。
公証役場で遺言書を作成するには証人が2人必要
財産を相続する人は証人になれません。未成年も証人になることはできません。例えば、相続人ではない親戚の方や信頼できる知人・友人に頼む必要があります。
私もはじめは、証人には妻と自分の両親どちらかに頼もうと考えていたので、それ以外の2人となると、誰に頼もうか頭を悩ませました。
この証人2人について、公証役場に証人となるものを手配してもらうこともできます。この場合、弁護士や行政書士が証人になってくれるため、自分の財産を相続人以外に知られたくない場合や証人となる者が見つけられない場合には、利用するといいと思います。
弁護士や行政書士には守秘義務があるので、外部に財産等の情報が漏れる心配もありません。1人につき8千円で証人を依頼することができます。2人依頼しても1万6千円なので、親戚や知人に頼む精神的負担を考えると、決して高い額ではないと思います。
遺言書を作成する年齢は?
一般的には資産が安定する定年後というのがタイミングとしても良いのではないでしょうか。認知症になってからの作成となると作成時に意思能力があったかどうかなど争われるケースもあります。
遺言書は何度でも書き直すことが可能なので、まずは早めに「遺言書について考えてみること」から始めてみるといいのではないでしょうか。
ちなみに、私は40歳で遺言書を書いてみました。突然やってくるもしもに対して、残される妻、息子の負担をすこしでも減らせるよう、安心できる状況を早めに作っておきたいと考えました。
この先、考えが変わるたびに遺言書の内容は変更していくと思います。
この記事が、あなたにとって遺言書を考えるきっかけになれば、うれしいです。