昨今、遺言書を残す人が増えています。認知症や相続手続きへの理解が深まってきたことが理由に挙げられると思います。そこで遺言書の作成を専門家に依頼する場合、何を準備しておけばいいのか、わかりやすく解説していきます。
スムーズな遺言書作成のために、事前に準備しておきたいポイント
専門家に遺言書作成を依頼する場合、スムーズなコミュニケーションと希望通りの遺言書作成のために、以下の点について事前に準備しておくと良いでしょう。
1. 希望する遺言書の種類
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。それぞれの特徴や作成方法、メリット・デメリットを理解した上で、希望する種類を決めておきましょう。
2. 遺言書作成の理由と背景
なぜ遺言書を作成するのか、その理由と背景を明確にしておくと、専門家がより的確なアドバイスや提案をすることができます。例えば、特定の財産を誰に譲りたい、家族間のトラブルを回避したい、未成年の子がいる、など具体的な理由があれば書き出しておきましょう。
3. 相続人同士の関係性
相続人同士の仲が良好かどうかによって、遺言書の内容や作成方法が変わってくる場合があります。例えば、相続人同士が仲たがいしている場合は、トラブルを避けるために、遺産分割の方法を具体的に明記する必要があります。
4. 相続関係図
相続人となる者の氏名、続柄、住所などをまとめた相続関係図を作成しておくと、誰が相続人なのか、誰が遺産をどのくらい受け取るのかを整理しやすくなります。
5. 遺産内容のリスト
預金、不動産、株式、生命保険、借金など、自分が所有している財産をリストアップしておきましょう。それぞれの財産の種類、金額、所在地などをできるだけ具体的に書き出しておくと、遺言書作成に役立ちます。
6. その他の希望や要望
遺言書に記載したいその他の希望や要望があれば、事前に書き出しておきましょう。例えば、ペットの世話、葬儀に関する希望、寄付に関する希望など、具体的な内容をメモしておくと良いでしょう。
遺言書作成時の注意点
自筆証書遺言
- 遺言者本人が自らの意思で、自筆で作成する必要があります。
- 委任状は代理人ではなく、遺言者本人が作成する必要があります。
- 遺言者本人が遺言作成当時、意思能力を有していることが必要です。
- 遺言の内容を理解していることが必要です。
- 遺言の意思が本当にあるかどうか、よく確認する必要があります。
公正証書遺言
- 公証人立ち会いのもと、遺言者本人が口述し、公証人が筆記する必要があります。
- 遺言者本人が、公正証書遺言作成当時、認知症などで意思能力がないと判断された場合は、作成することができません。
- 公証役場まで行けない場合は、公証人に来てもらうことも可能です。
その他
- 自筆証書遺言は、家庭裁判所の遺言書保管制度を利用して保管することをおすすめします。紛失や改ざんを防ぐことができ、検認手続きも不要になります。
- 遺言書と思われるものを見つけた場合は、勝手に開封せずに、家庭裁判所に持っていく必要があります。開封すると、過料の対象となる可能性があります。
専門家への相談
上記を参考に準備を進め、専門家に相談する際には、準備した資料を全て持参しましょう。分からないことや不安なことがあれば、遠慮なく質問し、希望をしっかりと伝えることが大切です。
遺言書作成は、自分の意思を明確にし、大切な財産や家族の将来を守るための重要なものです。専門家の力を借りながら、自分に合った遺言書を作成しましょう。
遺言書作成でお悩みの際には、お近くの行政書士事務所を訪ねてみてください。親身になって相談に乗ってくれると思います。
この記事が安心した未来を創る手助けになれば幸いです。