いらない土地だけ放棄できるのか?

相続についての相談で最も多い質問の一つに、「いらない土地だけを放棄することはできるのか?」というものがあります。この質問に対する答えは、単純に「できません」です。しかし、なぜそれができないのか、どのような手段があるのか、そしてその結果何が起こるのかについて詳しく説明しましょう。

いらない土地だけを放棄することができない理由

相続において、特定の資産だけを放棄することは認められていません。つまり、遺産の中でいらない土地だけを選んで放棄することはできないのです。相続には包括承継の原則が適用され、被相続人の権利義務は一括して相続人に承継されます。そのため、一部の財産だけを選んで放棄することは法的に不可能です。

相続放棄という手段

では、どうしてもいらない土地を放棄したい場合はどうすれば良いのでしょうか?その場合、全ての相続権を放棄する「相続放棄」という手段があります。相続放棄とは、相続人が全ての相続財産を放棄することで、遺産の一切を受け取らない選択をすることです。

相続放棄は家庭裁判所に対して申立てを行い、認められた場合に効力を発します。相続放棄が認められると、その相続人は最初から相続人でなかったものとみなされます。これにより、いらない土地も含めた全ての遺産から解放されるわけです。

相続放棄の結果

しかし、相続放棄を行ったからといって問題が解決するわけではありません。相続放棄を行うと、その相続権は次の相続順位にある者に移ることになります。例えば、第一順位の相続人が相続放棄をした場合、相続権は第二順位の相続人に移り、最終的には兄弟姉妹や甥姪などの遠縁の親族にまで影響が及びます。

したがって、いらない土地を放棄するために相続放棄を選んだ場合でも、他の相続人にその土地の相続権が移るため、その結果として生じる影響や責任を考慮しなければなりません。例えば、他の相続人がその土地の管理や維持費用を負担することになり、家庭内でのトラブルや感情的な摩擦が生じる可能性があります。

相談すべき場面

相続に関しては、以下のような場面で専門家である行政書士に相談することをお勧めします。

  • 相続人が多い場合:相続人が多いと、手続きが煩雑になるため、専門家のサポートが必要です。
  • 相続人と連絡がつかない場合:連絡が取れない相続人がいる場合、その相続権の処理が難しくなるため、専門家に相談して適切な対応を取ることが重要です。
  • 戸籍を集めるのが難しい場合:相続手続きには相続人全員の戸籍が必要ですが、集めるのが難しい場合があります。行政書士は職権で戸籍を集めることができるため、スムーズに手続きを進めることができます。
  • 相続人が遠方に住んでいる場合:遠方に住む相続人との連絡や手続きが煩雑になるため、専門家のサポートが有効です。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書は、相続人全員が遺産の分割方法に合意したことを証明する重要な書類です。この書類を作成することで、相続手続きをスムーズに進めることができます。行政書士は、法的に有効な遺産分割協議書を作成し、相続人全員の同意を得るためのサポートを行います。

相続関係説明図の作成

相続関係説明図は、相続人の関係を明確に示す図です。この図を作成することで、相続人の漏れを防ぎ、手続きを円滑に進めることができます。特に、古い戸籍を読み解くのが難しい場合や、相続人が多い場合には、行政書士のサポートを受けることが重要です。

終わりに

いらない土地だけを放棄することはできませんが、相続放棄という手段もあります。しかし、その結果他の相続人に影響が及ぶため、慎重な判断が求められます。相続に関する複雑な問題を解決するためには、専門家である行政書士に相談することが重要です。スムーズな相続手続きを実現するために、ぜひ行政書士のサポートを受けてください。

この記事が、相続についての理解を深める一助となれば幸いです。何か不明点があれば、ぜひお近くの行政書士事務所にご相談ください。

行政書士石川将史事務所