
介護分野で人手不足が続く中、介護 外国人材を採用する施設は年々増えています。しかし、在留資格制度を誤解して採用すると、更新ができなくなったり、在留資格の取り消しにつながる恐れがあります。特に「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」で介護職員を雇ってしまうケースは危険です。本記事では、介護と外国人材の採用において最も重要な「制度理解」を軸に、面接時の確認ポイントや、誤用によるリスクをわかりやすく解説します。
面接で最低限確認すべきこと
介護 外国人材を採用する際、面接で必ず確認すべき基本は次の2点です。
- 夜勤対応の可否 単独で夜勤が可能か、実際に経験があるかを確認しましょう。後から「一人では夜勤できない」となると大きな混乱につながります。
- 日本語の実務力 日常会話だけでなく、介護記録や緊急時の報告に必要な日本語ができるかが重要です。会話ができても記録が書けないと現場は回りません。
これらを確認しないと、採用後に「期待と現実のギャップ」として表面化しやすくなります。試用期間を設ける場合でも、評価基準をあらかじめ明示しておくことがトラブル防止につながります。

介護分野で使える在留資格と「技人国」の誤用
介護分野で実際に外国人が働ける在留資格は次の3つに限られます。
- 在留資格「介護」 介護福祉士国家試験に合格した人が対象。長期就労が可能で、専門性を重視。
- 特定技能(介護分野) 介護技能評価試験+日本語試験に合格すれば、即戦力として最長5年間働ける。
- EPA介護人材 フィリピン・インドネシア・ベトナムから候補者として来日。国家試験合格で「介護ビザ」に移行できる。国の枠組みで安心感があるが教育支援が必須。
一方で、「技人国」で介護職員を採用するのは制度上不適合です。技人国は通訳・事務・企画などホワイトカラー職種向けであり、介護現場での身体介護は対象外です。
この誤用は実際に見られ、更新や転職時に不適合と判断されるケースがあります。雇用契約を結んでいても、在留資格の活動範囲から外れていれば「資格外活動」となり、最悪は在留資格取り消し・退去強制の可能性があります。
「技人国」誤用のリスク
制度を誤解した採用は、施設・本人双方に深刻な影響を及ぼします。
- 更新できない 介護職として働いているのに技人国で申請すると、更新時に不許可となる可能性が高い。
- 在留資格取消のリスク 入管法第19条の活動範囲外で就労すると、取消・退去強制につながる。
- 転職時の混乱 制度不適合のまま転職しようとすると、正しい資格への切り替えが必要になり、就労継続が難しくなる。
「とりあえず技人国で雇う」という判断は大きなリスクです。必ず介護に適合する在留資格を選びましょう。

受入れ時に最低限押さえておきたい準備
施設経営の詳細までは不要ですが、最低限次の準備は必要です。
- 住居の確保:社宅やアパートの手配
- 生活支援:役所手続、口座開設、通信契約など
- 日本語教育:介護記録や緊急時に必要な表現の習得

よくある質問(FAQ)
Q1. 介護現場で「技人国」で採用できますか?
A. できません。介護は「介護ビザ」「特定技能」「EPA」が対象です。
Q2. 面接で最低限確認すべきことは?
A. 夜勤対応の可否と、日本語での記録・緊急対応力です。
Q3. 更新時に不許可になるケースは?
A. 在留資格と実際の業務内容が合致しない場合です。特に「技人国で介護現場に従事」は典型例です。
Q4. EPAと特定技能の違いは?
A. EPAは国家試験合格を目指す制度、特定技能は試験合格で即戦力となれる制度です。
Q5. 在留資格「介護」の特徴は?
A. 介護福祉士に合格すれば長期就労が可能。施設の中核人材になりやすいです。
Q6. 試用期間で不採用にできますか?
A. 可能ですが合理的理由が必要です。改善機会を与えずに終了するとトラブル化します。
Q7. 日本語能力はどう確認しますか?
A. JLPTの級だけでなく、実際に記録を書いてもらい、緊急対応のロールプレイをさせるのが確実です。
Q8. 人材紹介会社はどこまで対応しますか?
A. 会社ごとに異なります。多くは面接調整・書類案内までで、住居や生活支援は施設側対応になるケースが多いです。契約前に確認してください。
Q9. 制度を誤用するとどうなりますか?
A. 更新不許可、資格外活動による取消、退去強制など重大なリスクがあります。
Q10. 制度理解に不安がある場合どうすれば?
A. 最新の情報を確認し、必要に応じて専門家に相談すると安心です。
まとめ
介護 外国人材を採用するうえで最大の注意点は「技人国の誤用」です。介護現場で雇えるのは「介護」「特定技能」「EPA」のみです。技人国で採用してしまうと、更新不許可や資格取消につながり、本人・施設双方に大きな不利益をもたらします。
夜勤や日本語力の確認も大切ですが、根本的には「正しい在留資格で採用すること」が最大のリスク回避となります。採用後のトラブルを避けるためにも、必ず制度を正しく理解してから受入れを進めましょう。