経営管理ビザ、500万円ではもう取れません!改正案は3000万円が必要な理由

「会社の登記を直せば経営管理ビザが取り戻せると思っていたのに…」そんなお声をよくお聞きします。実は2025年8月26日に出入国在留管理庁が経営管理ビザの要件を大幅に厳格化する省令改正案を公表し、多くの方が想像以上に厳しい状況に置かれることになる見込みです。

特に、新規申請では従来の500万円ではなく3000万円の投資が必要になる見込みです。この記事では、公式発表された改正案の内容と現実的な対策について、分かりやすく解説いたします。

経営管理ビザの投資要件厳格化案が公表

2025年8月26日、出入国在留管理庁は経営管理ビザの要件を大幅に厳格化する省令改正案を公表し、パブリックコメント(意見公募)を開始しました。施行予定は2025年10月中旬とされており、外国人起業家にとって大きな転換点となる見込みです。

最も重要な変更点は、新規申請における資本金要件の大幅な引き上げです:

新規申請の場合:資本金3000万円以上が必要(改正案)
更新申請の場合:従来通りの審査基準

さらに、これまでは「資本金500万円以上」または「常勤職員2名以上の雇用」のいずれかを満たせば良かった選択制が廃止され、改正案では「資本金3000万円以上」かつ「常勤職員1名以上の雇用」の両方が必須要件となる見込みです。

この改正案の背景には、実質的な事業活動を行わないペーパーカンパニーの設立や、制度の悪用を防ぐ目的があります。入管当局は、より確実に事業を継続できる資本力と実体のある事業運営を求めるようになったのです。

改正案による新要件について

改正案が施行された場合、新規申請では資本金3000万円以上が必要となる見込みです。

現在資本金500万円の会社の場合:

改正案は主に新規申請を対象としており、既に経営管理ビザを持っている方の更新申請については従来通りの基準が適用される見込みです。

ただし、新たに経営管理ビザを申請する場合(他の在留資格からの変更申請、海外からの新規取得)では、改正案施行後は3000万円の要件が適用される見込みです。

増資を検討する場合は、株主総会の決議や登記変更などの手続きが必要で、時間と費用がかかります。また、増資した資金が実際に事業に使用される具体的な計画があることも重要な審査ポイントとなります。

実際のケースから見る誤解と改正案の影響

経営管理ビザに関して、実際に当事務所で扱ったケースを通じて、よくある誤解と改正案の影響について解説いたします。

ケース1:「登記を直せば元に戻る」と考えたAさんの事例

Aさんは、資本金500万円の会社で経営管理ビザを申請しましたが不許可となり、現在は特定活動ビザ(帰国準備期間)で滞在中です。Aさんは「会社の登記を修正すれば経営管理ビザに戻れる」と考えていらっしゃいましたが、これは誤解です。

特定活動ビザ(帰国準備)は文字通り帰国のための準備期間として与えられるものであり、この状態からの経営管理ビザ復帰は極めて困難です。改正案では、さらに申請人本人の学歴・経験要件も新設される見込みで、単純な登記修正では解決できない複合的な問題となっています。

ケース2:既存会社で安心していたBさんの事例

Bさんは、既に資本金500万円の会社を持っているため「経営管理ビザは問題なく取得できる」と考えていました。しかし、法人登記があることと、経営管理ビザの要件を満たすことは全く別の問題です。

改正案では、事業計画書についても「経営に関する専門的な知識を有する者による評価」を受けたものの提出が義務化される見込みです。これにより、公認会計士や中小企業診断士などの専門家による事業計画の妥当性評価が必要となり、より実質的な事業内容が求められることになります。

ケース3:再申請を検討中のCさんの事例

Cさんは過去に経営管理ビザが不許可となり、現在は技術・人文知識・国際業務ビザで働いています。「以前と同じ条件で再申請すれば今度は通るだろう」と考えていましたが、これも誤解です。

不許可となった理由が解決されていない限り、同じ条件での再申請は成功の可能性が低くなります。さらに、改正案が施行されれば要件が大幅に厳しくなるため、以前の条件では申請要件を満たさない可能性があります。

改正案では、「経営管理に関する博士・修士・専門職学位」または「事業の経営・管理について3年以上の経験」のいずれかが新たに必要とされる見込みです。

対策はあるのか?改正案施行前後の戦略

3000万円の要件は確かに厳しいものですが、全く方法がないわけではありません。改正案の施行予定を踏まえた現実的な対策をご紹介します。

施行前の申請検討:

改正案の施行予定は2025年10月中旬とされています。現行要件での申請を検討する場合、逆算して準備を進める必要があります。ただし、急いで準備した申請は不許可リスクが高まるため、専門家との相談が不可欠です。

経営管理ビザの申請では、常に資金の出所証明が求められます。「見せ金」のような一時的な資金では認められないため、自己資金であることの証明が必要です。

増資による対応:

改正案施行後の対応として、会社の資本金を3000万円まで増資することが最も直接的な方法です。ただし、単純に資本金を増やすだけでなく、その資金を実際の事業に活用する具体的な計画が必要です。

増資の際は、事業拡大計画、設備投資計画、人員採用計画など、資金の使途を明確にしておきましょう。審査官に「この金額が事業に必要である」と納得してもらうことが重要です。

学歴・経験要件への対応:

改正案では申請人本人の要件も厳格化される見込みです。経営・管理に関する学位や3年以上の経営経験が求められるため、これらの証明書類を事前に準備しておく必要があります。

海外での経営経験がある場合は、その証明書類の翻訳や公証が必要になる場合があります。

他の在留資格の検討:

経営管理ビザ以外にも、状況によっては適用可能な在留資格があります。例えば、技術・人文知識・国際業務ビザや、配偶者ビザなどです。

ただし、それぞれに異なる要件があるため、個別の状況を詳しく検討する必要があります。

専門家への相談:

在留資格の問題は非常に複雑で、特に法改正を控えた現在の状況では、最新の実務に精通した専門家のアドバイスが不可欠です。

行政書士などの専門家に相談することで、改正案の内容を踏まえた最適な戦略を立てることができます。また、申請書類の作成や審査対応についても、専門的なサポートを受けることができます。

まとめ

2025年8月26日に公表された省令改正案により、経営管理ビザの取得は従来以上に困難になる見込みです。特に新規申請では3000万円の投資要件や学歴・経験要件が新設される見込みで、要件の大幅な厳格化が予想されます。

改正案の施行予定は2025年10月中旬とされており、現在パブリックコメント期間中です。単純な登記修正や既存会社の存在だけでは、新制度の要件を満たすことができない可能性が高くなります。

改正案が正式に施行される前に現行要件での申請を検討するか、施行後の新要件に対応した準備を進めるか、いずれにしても早期の対策検討が重要です。特に在留期限が迫っている場合は、時間との勝負になります。

もし現在、経営管理ビザの問題でお困りの場合は、改正案の内容を熟知した専門家に早めにご相談ください。一人で悩んでいても解決策は見つかりませんが、適切なアドバイスがあれば道は開けるかもしれません。

🤝 経営管理ビザに関するご相談はお気軽に

改正案対応から資本金要件、申請戦略まで、専門家がお手伝いいたします