経営管理ビザ改正:資本金3,000万円要件と更新時の実務対応【2025年最新版】

2025年10月16日施行の省令改正により、経営管理ビザの資本金要件が3,000万円以上へと正式に引き上げられました。これまでの500万円では新規申請ができなくなり、既存の経営者にも段階的に新基準が適用されます。本記事では、改正の根拠、更新時に必要となる活動内容説明書の書き方、そして実務での対応ポイントを行政書士の視点からわかりやすく解説します。

どこが変わった?経営管理ビザ改正の概要

令和7年10月16日に施行された法務省令第59号によって、経営管理ビザの審査基準が大きく変わりました。主な改正点は次の通りです。

  • 資本金要件:500万円から3,000万円に引き上げ
  • 日本語能力要件を新設(N2程度が目安)
  • 学歴・経営経験要件の明確化
  • 更新時に「活動内容説明書」の提出が必須化

法的根拠は出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号に基づく省令改正です。条文では「申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金を含む。)が3,000万円以上であること」と明記されています。

この改正は、形式的な法人設立による資格取得を防止し、実態ある経営活動を促す狙いがあります。※最新の省令内容は法務省出入国在留管理庁公式サイトをご確認ください。

3,000万円要件が経営者に与える影響

新基準は新規申請だけでなく更新・変更にも影響します。資本金3,000万円に満たない事業者は、更新時に実態審査が厳格化されます。入管は以下の点を特に重視すると考えられます。

  • 継続的な売上や利益
  • 日本人や永住者などの常勤職員雇用
  • 事務所の独立性と事業用実態
  • 経営者本人の経営関与度合い

活動内容説明書の書き方と実務ポイント

活動内容説明書とは、在留期間中の経営・管理内容を説明する任意様式の書類です。改正後は実務上ほぼ必須となっています。入管への確認では「形式自由で、活動内容が分かればよい」とされています。

構成例としては以下のような形が有効です。

  1. 会社概要と設立経緯
  2. 主な取引先・売上実績
  3. 今後の経営方針・事業計画
  4. 雇用状況と経営者の関与

箇条書きでも問題なく、読みやすさが評価につながります。

私の実務経験では、活動内容説明書をA4・3~4枚で作成し、1か月以内で更新許可が出た事例もありました。ポイントは「事業概要・実績・今後の展開」を簡潔に整理することです。

経過措置(3年間)の内容と注意点

改正後すぐに全員が3,000万円を満たす必要はありません。施行日から令和10年10月16日までの3年間は経過措置期間として、現行資本でも更新可能です。

経過措置期間中は現行資本金でも更新できますが、活動内容説明書で「将来的な増資計画」や「事業拡大への取組」を記載しておくと、事業の継続性を説明しやすくなります。なお、これらは任意記載であり、入管の判断基準に明確な定めはありません。

日本語能力・学歴・経営経験の追加要件

改正後は経営者本人の能力・適格性も審査対象です。

  • 日本語能力:高度に自立した使用能力(N2程度)
  • 学歴:修士以上または同等の専門職学位
  • 経験:経営・管理分野で3年以上
  • 報酬:日本人同等以上

これにより、経営実績・語学力ともに信頼できる事業者のみが対象となります。

よくある質問(FAQ)

Q1.【基本】どこで申請しますか?

経営・管理ビザ(経営管理ビザ)の申請(在留資格認定証明書交付・在留期間更新・在留資格変更)は、 原則として事業所所在地または居住地を管轄する地方出入国在留管理局(その支局・出張所を含む)で行います。
具体的な窓口や受付時間は、出入国在留管理庁の公式サイトで、最新の情報を必ず確認してください。

Q2.【基本】必要書類は何ですか?

経営・管理ビザの申請で必要となる書類は、申請の種類(新規・更新・変更)や事業内容によって異なりますが、 代表的なものとして次のような書類が挙げられます(例示です)。

  • 在留資格認定証明書交付申請書・在留期間更新許可申請書などの申請書類
  • 申請人本人のパスポート・在留カード、写真
  • 会社の登記事項証明書、定款、株主構成が分かる資料
  • 事業計画書、事業概要説明書
  • 事務所の賃貸借契約書や写真など、事業所の実在を証明する資料
  • 決算書類、資本金が確認できる資料などの財務資料
  • 経営者の学歴・職歴、日本語能力を示す書類 など

正式な必要書類の一覧や、カテゴリーごとの追加書類は、出入国在留管理庁の 「在留資格『経営・管理』」のページに掲載される案内・ガイドラインを必ずご確認ください。

Q3.【基本】更新の費用はいくらですか?

在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請の手数料は、2025年4月1日以降に受付された申請については、次のとおりとされています。

  • 窓口申請:6,000円
  • オンライン申請:5,500円

いずれも許可が出たタイミングで、収入印紙によって納付します。
なお、行政書士に依頼する場合の報酬額は法定されておらず、各事務所が自由に設定しています。 最新の手数料額は、出入国在留管理庁の「在留手続に関する手数料」のページで確認してください。

Q4.【よくある疑問】資本金500万円のままでも更新できますか?

本記事で説明しているとおり、改正後も施行日から3年間は経過措置期間が設けられる想定であり、 その間は現行資本金でも更新申請が可能とされています(記事内の前提設定に基づきます)。
実際の経過措置の内容や適用範囲については、改正後の省令・告示・入管庁ガイドラインで示される内容を必ず確認してください。

Q5.【よくある疑問】日本語があまり話せなくても申請できますか?

経営・管理ビザに関する省令改正では、経営に従事する者について 「高度に自立して日本語を理解し、使用できる水準以上」の日本語能力が要件として定められています。
そのため、原則として、この日本語能力要件を満たすことが求められます。
具体的な評価方法や、どのような資料で日本語能力を示すかについては、 改正後に公表される基準省令やガイドライン、入管庁のQ&A等で確認する必要があります。

Q6.【よくある疑問】不許可になった場合、再申請はできますか?

経営・管理ビザの申請が不許可となった場合でも、法令上、「再申請をしてはいけない」という規定は設けられていません。 不許可通知や入管での説明を踏まえて、不足していた資料や要件を見直したうえで、改めて申請を行うことが可能です。
ただし、どの程度の期間をおいて再申請すべきか、どの点をどのように改善すべきかは、事案によって異なります。 不許可通知書の内容や入管の説明をもとに、個別に検討する必要があります。

Q7.【トラブル事例】会社が必要書類をなかなか出してくれません。

経営・管理ビザの審査では、会社の実態や事業内容を示す書類(登記事項証明書、決算書、賃貸借契約書など)が重要な資料となります。 これらは原則として申請人側で収集・提出する必要があります。
会社から書類が出てこない場合には、どの資料が必須で、どの資料が代替可能なのかを整理したうえで、 行政書士など専門家に相談し、会社への依頼方法や説明内容を検討することが実務的な対応となります。

Q8.【トラブル事例】更新期限を過ぎてしまいそうなときはどうなりますか?

在留期間更新許可申請は、原則として現在の在留期間が満了する日までに行う必要があります。 在留期間満了日を過ぎてしまうと、不法残留(オーバーステイ)に該当してしまう可能性があります。
やむを得ない事情がある場合の取り扱いについては、入管の判断に委ねられる部分が大きく、 一律の取扱いが示されているわけではありません。事情が生じた時点で、できるだけ早く入管や専門家に相談し、 具体的な対応方法を確認することが重要です。

行政書士に依頼するメリット

改正後の経営管理ビザでは、資本金の金額だけでなく、実際にどのように事業を運営しているかを説明することが求められます。
活動内容説明書の作成や添付資料の整理など、実務的な対応には専門知識が必要です。
行政書士に依頼すれば、これらの書類を入管実務に沿って整理し、審査で伝わりやすい形にまとめることができます。
日本語での書類作成に不安がある外国人経営者の方にとっても、心強いサポートとなるでしょう。

まとめ

2025年10月16日施行の省令改正により、経営管理ビザの資本金要件は3,000万円へ引き上げられました。更新時には活動内容説明書の提出も求められ、経営実態の説明が重要になります。早めに準備を進め、安心して更新を迎えましょう。

当事務所では全国からのご相談に対応しています。
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※最新情報は法務省公式サイトで確認のうえ、早めの準備をおすすめします。

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