
障害福祉施設を運営するにあたり、加算制度の理解は重要です。しかし、従来の事業者ハンドブックは難解で読みにくいとの声をよく耳にします。そこで、本記事では福祉専門職員配置等加算、視覚・聴覚・言語障害者支援体制加算、看護職員配置加算について、わかりやすく解説します。これにより、施設事業者が適切に加算を取得し、質の高い支援を提供する一助となれば幸いです。
福祉専門職員配置等加算の概要
資格等を持った福祉専門職員(有資格者)を配置等した場合に算定できる加算です。
有資格者とは社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理士を指します。※保育士は含みません。
イ 福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) | 10単位 | 専門職員の割合が35%以上 |
ロ 福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) | 7単位 | 専門職員の割合が25%以上 |
ハ 福祉専門職員配置等加算(Ⅲ) | 4単位 | 以下のいずれかに該当 (1) 常勤職員の割合が50%以上 (2) 3年以上勤務している常勤職員の割合が30%以上 |
イについて
- 指定障害福祉サービス基準に基づき配置された世話人や生活支援員のうち、以下の条件を満たすこと
- 常勤であること。
- 社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師であること。
- 該当する従業者の割合が35%以上であること。
- この条件を満たす指定共同生活援助事業所等において、1日ごとに10単位の加算が行われます。
ロについては
・条件
世話人や生活支援員のうち、常勤で配置されている従業者の割合が25%以上であること。
・加算内容
この条件を満たす指定共同生活援助事業所等において、1日ごとに7単位の加算が行われます。
・注意
イの加算を算定している場合は、ロの加算はできません。
ハについては
・次の2つの条件のいずれかを満たすこと
(1) 世話人や生活支援員のうち、常勤で配置されている従業者の割合が50%以上。
(2) 常勤で配置されている従業者のうち、3年以上勤務している割合が30%以上。
視覚・聴覚・言語障害者支援体制加算の概要
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算は、視覚障害、聴覚障害、言語機能障害のある利用者が一定数いる福祉サービス事業所において、それらの障害を持つ利用者に対する専門的な支援体制を整備した場合に算定できる加算です。
イ 支援体制加算(I) | 51単位 | 利用者の50%以上が視覚・聴覚・言語障害者等、専門職員配置1:40以上 |
ロ 支援体制加算(II) | 41単位 | 利用者の30%以上が視覚・聴覚・言語障害者等、専門職員配置1:50以上 |
イについて
- 視覚障害者や重度の視覚障害、聴覚障害、言語機能障害、知的障害のうち2つ以上の障害を持つ利用者が、利用者全体の50%以上であること。
- 視覚障害者等の生活支援に従事する専門職員を、基準以上の配置数で配置していること。(※1)
ロについて
- 視覚障害者等が利用者全体の30%以上であること。
- 視覚障害者等の生活支援に従事する専門職員を、基準以上の配置数で配置していること。(※2)
※専門職員配置の基準について
※1)利用者40人に対して1人以上の専門職員を常勤として配置することが求められます。
※2)利用者50人に対して1人以上の専門職員を常勤として配置することが求められます。
利用者の計算方法について
- 重度の視覚障害、聴覚障害、言語機能障害、知的障害のうち2つ以上の障害を持つ利用者は、2人分として数えます。
看護職員配置加算の概要
看護職員が常駐している場合に算定できる加算です。医療的なケアが必要な利用者さんに対して、よりきめ細かい支援ができるようにするための制度です。
看護職員配置加算 | 70単位 | 指定障害福祉サービス基準に定める基準の従業者数に加え、常勤の看護職員を1人以上配置 |
- 加算の条件
- 看護職員を常勤として1人以上配置し、その旨を都道府県知事に届け出た指定共同生活援助事業所等において、1日につき70単位が加算されます。
- 注意事項
- 指定共同生活援助事業所が複数の共同生活住居を有する場合、適切な支援を行うために必要な人数を確保するため、常勤換算方法により看護職員が1人以上であること、かつ利用者の数を20で割った数以上の看護職員が必要です。
- この加算は、看護職員が配置されることで、日常的な健康管理、看護の提供、喀痰吸引等の指導、医療機関との連絡調整を行う体制が整備されることを評価するものです。
- 看護職員が行う支援内容
- 日常的な健康管理
- 医療ニーズに応じた看護の提供
- 医療機関との連絡調整及び受診支援
- 看護職員による常時の連絡体制の確保
- 重度化した利用者への対応指針の作成と説明
まとめ
本記事を通じて、加算制度のポイントが明確になり、日々の運営に役立つ情報を提供できたことを願っています。今後も、より良い支援体制を整えるために、適切な加算の取得とその活用を行ってください。疑問点やさらなる情報が必要な場合は、お気軽にご相談ください。施設運営の成功を心から応援しています。