遺言書は、あなたの最終的な意思を伝える大切な手段です。そして遺言書はあなたの意思を伝えるとともに残された家族のために作るためのものでもあります。この記事では公正証書遺言の重要性と留意点についてわかりやすくまとめています。
特に以下のようなケースでは、遺言書の作成が強く推奨されます。
遺言書が特に必要なケース
- 夫婦に子供がいない場合
子供がいない夫婦では、遺産の分配方法を明確にしておくために遺言書が必要です。 - 再婚していて先妻の子供と後妻がいる場合
再婚している場合、遺産の分配について遺言書で意思を明示することが出来ます。 - 特定の人に事業を継がせたい場合
事業を特定の人に引き継がせる意思を遺言書に記載しておくことで、その意向を確実に伝えることができます。 - 相続人がいない場合
相続人がいない場合、遺産をどのように処分するかを遺言書で明確にしておくことが重要です。 - 相続人でない第三者に遺贈したい場合
遺産を特定の第三者に贈りたい場合、遺言書でその意思を明示することで、法的に認められた贈与を行うことができます。
公正証書遺言のメリット
- 公証人によるチェック
公正証書遺言では、公証人が内容をチェックします。そのため、自筆証書遺言のように記載方法の不備で無効になるリスクを防げます。さらに、公証人から書き方のアドバイスも受けられます。 - 検認が不要
自筆証書遺言の場合、遺言書を見つけた後、家庭裁判所で検認手続きをする必要があります。検認手続きは数か月かかることもあります。しかし、公正証書遺言なら検認手続きが不要ですぐに遺言執行手続きに移れます。 - 意思能力の確認
遺言書は、意思能力がない場合に書かれたものは無効です。公正証書遺言では、公証人の前で面談を行い、認知症であるか、または認知症であっても遺言の意思と内容を理解できているかを確認した上で作成します。そのため、認知症による無効のトラブルが起こりにくいです。 - 保管の安全性
公正証書遺言は公証役場で保管されるため、改ざんや紛失のリスクがありません。さらに、全国の公証役場から遺言書を検索することも可能です。 - 秘密保持
公正証書遺言は公証役場で保管されるため、内容を相続人に知られずに保管できます。 - 有効性が高い
自筆証書遺言は手続き要件が厳しく、無効になる恐れがありますが、公正証書遺言は公証人が作成するため、有効な遺言書を作成できます。
公正証書遺言のデメリット
- 手数料がかかる
公正証書遺言を作成するには、公証人への手数料が発生します。財産の額に応じて費用が変動しますが、例えば1億円以下の財産で3〜4人の相続人がいる場合、約7万円程度の手数料がかかることがあります。ちなみに私の場合は妻と子供の二人が相続人で、相続財産は預金と家と土地を合わせて公正証書遺言の作成手数料は5万円ほどでした。費用は状況や内容等でも変わるので公証役場に確認してください。 - 心理的負担
公証人の確認等が必要なため心理的負担に感じることあります。しかし、行政書士など専門家に相談すれば主な手続きは行政書士等が公証人と連絡を取り合い手続きを進めていくので不安がある方は専門家に相談することをお勧めします。 - 訂正に費用がかかる
一度作成した遺言を将来訂正する場合にも費用がかかります。一部の訂正でも一般的には以前の内容をすべて撤回して新たに作成し直します。しかし費用は訂正部分のみの場合が多く大体2万円程度の費用がかかります。ただし、 別の公証役場で訂正を依頼すると、初回の作成費用が再度発生するため、最初に作成した公証役場で修正することをお勧めします。
まとめ
公正証書遺言の利点とデメリットを考慮しても、その確実性と信頼性は他に代えがたいものです。もちろん、自筆証書遺言は手軽で手数料もかかりませんが、無効になるリスクや、検認手続きの煩わしさを考えると、重要な遺産分配においては不安が残ります。
一方、公正証書遺言は、手数料や手続きの負担があっても、公証人によるチェックや意思能力の確認、さらに安全な保管体制が整っているため、より確実な遺言執行ができると考えられます。遺産分配においても、残された家族の負担の軽減させるためにも遺言書の作成を考えるなら、やはり公正証書遺言が安心だと私は考えています。
公正証書遺言をお考えの際はぜひお近くの行政書士事務所に相談してみてください。
この記事が公正証書遺言を作成するお役に立てば幸いです。