相続は突然やってきます。
人はいつか必ず死をむかえ、故人の財産は相続人に受け継がれていきます。
遺産をどう分けるのか、そもそも遺産はあるのか、残された遺族は失った故人の悲しみに浸る暇もなく手続きに追われてしまいます。
遺産によって大切な家族がバラバラになってしまうことだってあるのです。
大切な家族のためにできることをお話していきます。
相続財産が少ないほどトラブルがおこりやすい
『骨肉の争い』一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。身近にみた方、実際に巻き込まれた経験がある方もいるかもしれません。
うちは財産なんてないから、トラブルはおきないよ。沢山お金持ってるから争いになるんだよ、なんていう方もいます。
では実際に、どのくらいの遺産(財産価格)があるとトラブルになるのでしょうか。
裁判所の遺産トラブル事件の統計結果では遺産価格が5000万円以下の家庭でトラブルが多く発生するという結果が出ています。5000万円以下で43%、1000万円以下で33%、なんとトラブルのおよそ8割が5000万円以下でおきているという結果になっています。
「でも、本当に残すお金なんてないよ」と思う方もいるかもしれませんが、相続財産には現金だけではなく家や土地といった財産も含まれます。
相続財産が自宅だけという方も自分が思っている以上に相続財産があるということも十分に考えられます。
ちなみにですが、1億円では11%、5億円以上では1%となっており、十分な遺産があるほど争いに発展することが少ないようです。みんなで分けても十分もらえるからでしょうか。
全国の家庭裁判所における遺産トラブルの件数は1万件を超えています。
詳しく知りたい方はウェブサイトの「裁判所の司法統計」で調べることができます。
下記にリンクを貼り付けておくので気になる方はぜひ調べてみてください。
「裁判所ウェブサイト 司法統計」
相続トラブルをおこさないために必要なこと
まず、相続トラブルに発展することがおおいのは特に兄弟姉妹間であると言われています。
現金や有価証券など分けやすいものはいいのですが、不動産や自社株式など簡単に分けたり現金化できないものがトラブルになりやすいです。
たとえば、実家を残し住みたい兄、家を売ってお金にしたい弟、といった意見の食い違いがおこると骨肉の争いに発展してしまいます。
生前から誰がどの財産を受け継ぐのかを考えることが必要になってきます。
そしてその内容を遺言書や民事信託によって実現できる様に準備することこれが相続トラブル防ぐために最も重要な手段になっていきます。
民事信託についてはまた別の機会にお話しします。ここでは遺言書について簡単にまとめてみましょう。
遺言書のちから
遺言書は相続においては、最優先事項となります。故人の意向という点でもっとも尊重されるものだからです。特定の人に多く遺産を残したい、相続人以外の人に遺産を渡したい。そんなことも、遺言書を残すことで可能になります。
・私の財産ゆくえは私が決めたい
・私の遺産で残す家族でモメてほしくない
・私がなくなった後、遺族に面倒な思いはしてほしくない
そういった想いを遺言書に託すことができます。遺言書を残すということは、あなたの大切な家族を守ることにもつながっていくのです。
遺言書の注意点
まず前提として、遺言書の書き方には法的なルールがあります。
それを守らないと遺言書は効力のないものとして、無効になってしまうので注意が必要です。
遺言書を書く時の注意点や詳しい作成方法が法務局のサイトに掲載されています。
下記に法務局のリンクを張り付けておくので気になる方は見てください。
また遺言書を作るには3つの方法があります。
・自分で書く
・公証役場にいって役人に書いてもらう
・自分で書いて公証役場で遺言書であることを証明してもらう
それぞれメリットデメリットがあります。
3つめの公証役場に証明してもらう制度は秘密証書遺言というのですがこちらは、現在新しい制度も設立されたのでオススメしません。
自分で書く
メリットは、内容を秘密にできることです。
遺産に頼ってほしくない、財産を知られたくないなどに有効です。
デメリットは、無効になるリスクがあることです。遺言書の書き方には法的ルールがあります。
ネットや本で知べながら書くことは可能ですが、万が一、間違いがあれば無効になってしまうので専門家に書き方の指導を受けながら書くことをおすすめします。一定の費用は掛かってしまいますが、無効のリスクを考えると専門家に頼ることも必要になってくるのではないでしょうか。
公証役場にいって役人に書いてもらう
メリットは、遺言書の形式の中で最も安全ということです。プロ中のプロが作成するので無効になるリスクはほぼありません。また、遺言書の保管も公証役場でできるので紛失や改ざんなどの危険性もありません。
デメリットは、費用が掛かることです。費用については相続財産によって変わります。
下記にリンクを張り付けておくので、気になる方は確認してみてください。
また、証人を2人連れて行かなければいけません。
自分の信頼できる人を2人、もちろん相続財産についても知られてしまうことになります。
ここが相続内容を秘密にできる「自分で遺言書を書く」方法と大きく違うところかと思います。
証人2人も連れていきたくない、知られたくないという方は専門家に証人の1人になってもらうこともできます。
また、普段から公証役場に行き慣れている人は少ないと思うので、いきなり公証役場にいくのは不安だという方にも専門家についてきてもらえば、安心できると思います。
遺言書を書くお手伝いをすること、証人の1人になること、遺言書手続きのサポートすること、これらは『行政書士』が得意とするところです。
身近にいる行政書士を頼ってみてはいかがでしょうか。きっと親身になって相談に応じてくれると思いますよ。
「行政書士石川将史事務所」