相続手続きが始まると、普段は気に留めていなかったさまざまな事柄が浮き彫りになります。その中でも、多くの方が初めて知ることとなるのが固定資産税です。今回は、相続手続きの中で知っておくべき固定資産税について詳しく解説します。
固定資産税とは?
固定資産税は、不動産などの固定資産を所有している場合に課せられる地方税です。毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して、その不動産が所在する市町村から課税されます。この税金は、土地や建物の評価額に基づいて計算され、年に一度納税義務が発生します。
相続で初めて知る固定資産税
相続が発生し、故人が所有していた不動産を相続する際に、固定資産税の納税義務も引き継ぐことになります。以下のような状況で固定資産税の存在を初めて認識することが多いです。
知らなかった土地や建物
相続財産には、相続人が存在を知らなかった不動産も含まれている場合があります。例えば、「この土地がどこの土地かわからないが、父が税金を払っていた」というケースです。このような場合、まずその土地や建物の所在と価値を確認する必要があります。
支払い義務の継続
故人が固定資産税を支払っていた場合、その土地や建物の相続人は今後もその納税義務を負うことになります。納税を怠ると延滞金が発生し、最悪の場合、差し押さえなどの法的措置が取られる可能性もあります。
固定資産税の確認方法
故人が所有していた不動産についての情報を収集するために、以下の方法を活用できます。
固定資産税納税通知書の確認
故人の遺品の中に固定資産税納税通知書が含まれている場合、その通知書には納税対象の不動産についての詳細情報が記載されています。これをもとに、その不動産の場所や評価額を確認できます。
市町村の税務課への問い合わせ
故人が納税していた市町村の税務課に問い合わせることで、その地域内の固定資産に関する情報を取得できます。納税者番号や不動産の地番を伝えることで、詳細な情報が得られるでしょう。
法務局での不動産登記の確認
不動産登記は法務局で管理されており、登記簿を確認することで不動産の所有権や所在を確認することができます。相続手続きにおいては、この登記簿の情報が非常に重要です。
固定資産税の支払いについての注意点
「払うしかないか?」と思って役所に行くと、ほとんどの場合「払ってください」と言われるでしょう。実は、役所は納税者が誰であるかをあまり気にしません。納税さえされれば、相続人でなくても、赤の他人であっても問題ありません。このため、例えば隣の土地やお手伝いさんの土地の固定資産税を代わりに払っていたというケースもあります。
不正確な納税とその対処法
祖父母や両親から代々引き継がれた土地について、実は誰の所有であるか正確に知らないまま税金を払い続けているケースも少なくありません。特に山や畑、田など、固定資産税が比較的安いためにあまり気にせず払っている場合もあります。しかし、孫の代になって相続が発生し、改めて調べてみると「自分の土地ではない」と判明することがあります。この場合、既に払ってしまった税金は役所から返してもらうことは難しいです。
解決方法
もし払う必要のない土地に対して固定資産税を払っていた場合、次年度からの支払いを止めることができます。相続人ではないことを証明し、役所の税務課に届け出ることが必要です。役所に相談して、実際の所有者を探してもらうことができます。
専門家への相談
役所への相談や手続きに不安がある場合、専門家の助けを借りるのも一つの方法です。行政書士は町の法律家として身近な存在であり、行政への手続きや相談に応じてくれます。自分の資産状況や税金関係を一度見直しておくことで、将来的な負担を減らすことができます。
エンディングノートの活用
また、この機会にエンディングノートを活用することをおすすめします。エンディングノートには、財産の詳細や相続についての希望を書いておくことで、家族への負担を軽減することができます。エンディングノートに関する記事もありますので、ぜひご覧ください。
まとめ
相続手続きにおける固定資産税について、その概要や納税方法、注意点などを説明しました。相続人として適切な対処を行い、自分の資産を守るために必要な情報を提供しました。専門家の助けを借りることで、よりスムーズな手続きが可能となります。気軽に相談できる行政書士が近くにいることを忘れず、必要なときに頼ってみてください。