
近年、建設業や製造業を中心に、外国人材の雇用が広がっています。しかし、外国人材の活用において必ず直面するのが「言葉の壁」です。単なる語学力の問題にとどまらず、文化的背景や価値観の違いから来る誤解やすれ違いが、職場内のコミュニケーションに大きな影響を与えることも少なくありません。
この記事では、特に注意すべき「イエス(はい)」の危険性と、その具体的な対策について解説します。
イエス=理解、ではないという現実
外国人材とのやりとりで、「この作業わかった?」「質問ある?」と聞くと、「はい」と返ってくることがあります。 しかし実際には、「理解していないのに『はい』と答える」ケースが少なくありません。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
- 「わからない」と言って怒られるのが怖い
- 相手に迷惑をかけたくない、恥をかきたくない
- 文化的に『ノー』を言いづらい環境で育っている
これらの理由から、外国人材は「とりあえずイエス」と答えてしまう傾向があります。日本人側がその「はい」を信じてしまうと、作業ミスや安全トラブルに直結する恐れがあるのです。

① オープンクエスチョンを使う
「わかった?」「大丈夫?」と聞くと、返ってくる答えはたいてい「はい」です。 そこで有効なのが、Yes/Noで答えられない質問=オープンクエスチョンを使うことです。
- 「この作業は、何をするところから始めるの?」
- 「どうやって確認するのか説明してくれる?」
- 「次に何をする?」
こうした質問を通じて、本当に理解しているかどうかを確認できます。
また、ジェスチャーや指差し、実物を見せながらの説明を交えることで、言語による誤解を最小限に抑える工夫も効果的です。
② 確認のステップを増やす
1回の説明や1つの質問で済ませるのではなく、確認のプロセスを複数回挟むことが重要です。
- 図や写真を使ったマニュアルを活用する
- 作業を始める前にロールプレイや練習を行う
- 指差し確認や復唱を取り入れる
さらに、掲示物やチェックリストの整備など、目に見える形での情報共有が理解を助ける要素となります。
③ 「イエスを信じすぎない」意識を持つ
少し言い方は強いかもしれませんが、外国人材とのやりとりでは「イエスを鵜呑みにしない」意識が必要です。
「はい」と言われたからといって、必ずしも理解しているとは限らない。 その前提で接し、確認を怠らないことが、リーダーや管理者に求められる姿勢です。
「わからない」と言える空気づくりも大切
- 「間違えてもいいから、わからなかったら教えてね」
- 「質問してくれるのは、とてもいいことだよ」
こうした一言を日常的に使うことで、外国人材も安心して質問や相談ができるようになります。
また、日本語学習の支援や「やさしい日本語」の導入も有効です。専門用語を避けたり、短い文で区切った説明をすることで、より伝わりやすくなります。
言葉の壁を乗り越える職場づくり
言葉の壁は、工夫次第で乗り越えることができます。 大切なのは、伝えたつもりにならないこと。 そして、相手の理解度に合わせて伝える姿勢を持つことです。
やさしい日本語の活用、オープンクエスチョン、図や実演による補足など、現場でできる工夫はたくさんあります。
言葉の壁を「問題」ではなく「改善ポイント」と捉え、前向きに対応していくことで、外国人材との信頼関係も深まり、職場の安全性・生産性も向上します。
まとめ
- 「はい=理解している」と思い込まない
- オープンクエスチョンで本音を引き出す
- 確認のプロセスを工夫し、可視化・実演で補う
- 「わからない」と言える安心感を職場に
- やさしい日本語や視覚的な伝達手段の活用も有効
外国人材とのコミュニケーションには、言葉以上に「伝える工夫」と「受け取る姿勢」が求められます。 「伝わったか?」ではなく「伝わるまで」が大切。 その一歩一歩が、よりよい職場環境と、外国人材の定着につながっていくと思います。
この記事が外国人材とのコミュニケーションについての理解を深める一助となれば幸いです。