育成就労制度と入管法

育成就労制度は、技能実習制度に代わる新たな外国人雇用制度として注目されています。この制度は、外国人労働者の権利保護とキャリアアップを目指し、日本の労働市場における人材確保を目的としています。本記事では、育成就労制度の概要、税・社会保険における対応、送還忌避問題、R5入管法等改正法案について詳しく解説します。

育成就労制度の概要

育成就労制度は、技能実習制度の問題点を解消するために設立されました。技能実習制度では、低賃金での長時間労働や労働環境の悪化が問題視されていましたが、育成就労制度ではこれらの問題を改善し、外国人労働者の権利を守ることを目指しています。

育成就労制度の主な特徴は以下の通りです。

  • 人材育成と人材確保:外国人労働者のスキルアップを図り、長期的な雇用を促進します。
  • 転籍の柔軟化:一定の条件を満たせば、労働者本人の意向による転籍が可能です。
  • 監理・支援体制の強化:関係機関による監理・支援・保護体制を強化し、労働者の権利を守ります。

税・社会保険における対応

育成就労制度では、税・社会保険の納付状況を厳格に審査することが求められます。技能実習制度では税のみの審査が行われていましたが、育成就労制度では社会保険の支払い状況も確認されます。

特に、未納のまま出国してしまうケースに対しては、出国後も納付を促す仕組みの構築が検討されています。具体的には、受け入れ機関に納税管理人となることを求めるなどの措置が考えられています。

また、過去の税・社会保険料の納付状況も審査され、在留中に支払い状況を確認することが重要です。これにより、外国人労働者が適切に税・社会保険を納付することが確保されます。

R5入管法等改正法案について

令和5年に改正された入管法等改正法案では、外国人労働者の送還忌避問題に対する対応が強化されています。現行法上では、送還忌避者は送還できないという法の不備がありましたが、改正法案では以下の点が改善されています。

  1. 難民認定手続き中の送還停止の例外規定 
    難民認定手続き中でも、一定の条件を満たせば送還が可能となります。
  2. 退去を拒む自国民の受取拒否問題
    退去を拒む外国人を強制的に退去させる手段が強化されました。
  3. 送還妨害行為への対応
    航空機内での暴力行為や搭乗拒否などの送還妨害行為に対する対策が講じられました。

監理措置制度の創設

改正法案では、監理人の管理の下で収監せずに退去強制手続きを進める監理措置制度が創設されました。この制度により、外国人労働者が社会内で生活しながら退去強制手続きを進めることが可能となります。

監理措置制度の主な特徴は以下の通りです。

監理人の選定

監理人は、外国人労働者の生活状況を把握し、指導・監督を行います。

  • 保証金の納付
    逃亡防止のために保証金を納付することが求められる場合があります。
  • 報酬を受ける活動の許可
    退去強制令書発付前の被監理者に対して、生計維持のための就労が認められる場合があります。

在留特別許可の適正化と難民認定手続きの分離

改正法案では、在留特別許可の適正化が図られ、難民認定手続きとの分離が行われました。これにより、難民認定手続きが迅速かつ適正に行われることが期待されています。

在留特別許可の主な変更点は以下の通りです。

  • 申請手続の創設:外国人労働者が退去強制対象者に該当する場合でも、特別な事情がある場合は在留特別許可が認められるようになりました。
  • 考慮事情の明示:在留特別許可の判断において、家族関係や素行などの考慮事情が法律上明示されました。

自発的な帰国を促す措置

改正法案では、自発的な帰国を促す措置として、上陸拒否期間の短縮が行われました。退去強制は原則5年ですが、出国命令に従えば1年となります。また、出頭した者のみならず、摘発された者も出国命令の対象に追加されました。

さらに、退去強制の場合でも自費出国の場合は上陸拒否期間を短縮することが可能となりました。これにより、外国人労働者が自発的に帰国することを促進し、送還忌避問題の解決が期待されています。

まとめ

育成就労制度は、外国人労働者の権利保護とキャリアアップを目指し、日本の労働市場における人材確保を目的としています。税・社会保険の納付状況の厳格な審査や、送還忌避問題への対応、監理措置制度の創設など、様々な施策が講じられています。これらの施策により、外国人労働者が安心して働ける環境が整備され、日本の労働市場における人材確保が進むことが期待されています。

この記事が育成就労制度・入管法等についての理解を深める一助となれば幸いです。

行政書士石川将史事務所