夫婦間での財産分与や相続は、揉めることなく円満に済ませたいものです。特に、子供がいらっしゃらない夫婦の場合は、法定相続人が親族となるため、遺言書を作成しておくことで、よりスムーズな相続を実現し残された家族の安心を得ることができます。
本記事では、子供がいなくても遺言書を書いた方がいい理由と、遺言書作成のポイントについて詳しく解説します。
子供がいなくても遺言書が必要な理由
子供がいなくても遺言書が必要な理由は、主に以下の3つが挙げられます。
- 配偶者に多くの財産を残せる
法制度では、子供がいない場合、配偶者と親族が遺産を相続することになります。しかし、親族の中には、すでに十分な財産を持っている方や、遺産を受け取ることに消極的な方もいるかもしれません。遺言書を作成しておけば、ご自身の思いにそった相続をすることができます。
例えば、子供がいない夫婦で両親がすでに亡くなっていた場合、夫が亡くなり相続人となるのは妻と夫の兄弟姉妹になります。遺言書がなければ妻4分の3、兄弟姉妹4分の1で財産を分けることになるので、妻の相続する財産の一部が減ってしまうことになります。
しかし、遺言書があれば妻のみに全財産を相続させることができます。一方で両親が健在の場合には、妻に相続された遺産の一部を自分たちにも払うよう両親が請求する権利(遺留分侵害請求権)があり、妻がすべての財産を相続出来ないことがあります。
兄弟姉妹にはこの「遺留分」を請求する権利がないため、妻のみにすべてを相続させることが可能です。ですので、子供がいない夫婦で両親がすでに亡くなっているという場合には、特に遺言書を作成しておくと良いと思います。
- スムーズな相続手続きを実現できる
遺言書がない場合、相続手続きには時間がかかり、複雑になることがあります。一方、遺言書があれば、遺産分割協議書が必要なくなるため、相続手続きをスムーズに進めることができます。
- ペットの飼育や介護に関する希望を伝えられる
遺言書には、ペットの飼育や介護に関する希望を伝えることもできます。ご自身の死後も、ペットや大切な人が安心して暮らせるように、遺言書を活用しましょう。
遺言書作成のポイント
遺言書を作成する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 形式
遺言書には、自筆証書、公正証書、秘密証書の3種類があります。それぞれの特徴を理解した上で、自分に合った形式を選びましょう。費用の違いや、定められたルールに従って書く必要があり、ルールから外れた遺言書は無効となってしまうので、注意が必要です。
今はネットで検索すれば注意点含め、詳しい書き方などが調べられるようになっているので、ご自身で作成することも十分に可能です。しかし、調べることは多く、ミスがあれば無効になってしまうことを考えると専門家に作成のサポートを依頼してみるのもいいと思います。
- 内容
遺言書には、誰が何を相続するのかを具体的に記載する必要があります。また、遺言執行者を指定したり、財産処分に関する希望を伝えたりすることもできます。また。遺言執行者を専門家に指定することもできます。
- 作成時期
遺言書は、いつでも作成することができます。一度作成した遺言書も書き直すことは可能なので、早めに書いてみることをおすすめします。一つの目安としては、定年退職し、老後の財産状況に見通しが立った時でしょうか。60代であっても早すぎることはないと言えます。
認知症になってしまってから遺言書を書いても法律上、無効になってしまうので、若いうちに作成しておくと安心です。
まとめ
子供がいなくても、遺言書を作成しておくことで、多くのメリットがあります。円滑な相続を実現するためにも、ぜひ遺言書の作成を検討してみてはいかがでしょうか。
このブログ記事が、子供がいらっしゃらない夫婦の方の相続対策にお役立ていただければ幸いです。
「行政書士石川将史事務所」