
「土地を手放したいんだけど、登記の地目が“畑”のままでどうすればいいかわからない」
そんなご相談をよくいただきます。
実際にはもう畑として使っておらず、すでに駐車場や資材置き場になっていることも少なくありません。
でも、登記簿上は“畑”のまま……。
こういったケース、どう進めたらいいのか悩ましいですよね。
今回は、非農地証明と農地転用(5条申請)の違いをわかりやすくご説明します。
目次
地目が「畑」=法律上は農地扱い
登記簿上の地目が「畑」や「田」になっている土地は、原則として 農地法の制限がかかる農地 とみなされます。
たとえ見た目が畑っぽくなくても、使われていなくても、草ボーボーでも……
「農地じゃないことの証明(=非農地証明)」がない限り、農地として扱われます。
非農地証明とは?
非農地証明とは、「もう農地ではない」ということを市役所(農業委員会)に認めてもらうための手続きです。
これが認められれば、農地法の許可(いわゆる“農地転用”)を受けなくても売買や使用が可能になります。
ただし、意図的に転用したと判断される場合は非農地証明の対象外とされることがあります。
多くの自治体では、耕作放棄などにより「客観的に農地性が失われた状態」であれば非農地証明が認められる傾向にありますが、
判断基準や取扱いは自治体や農業委員会の方針によって異なります。
そのため、まずは該当する市町村の農業委員会に確認することが重要です。
実際に市役所に聞いてみた
実際に、こういったご相談があり市役所に問い合わせたところ……
対象の土地は、登記地目が「畑」。
しかし、何年も前から耕作されておらず、砕石を敷いて駐車場として使用されている状態でした。
この件について、市役所の職員の方からは以下のような説明がありました。
「砕石を敷いたことにより意図的に農地以外として使用しているので、“自然に農地としての性質を失った”とはいえず、非農地証明の対象にはならない。したがって、農地法第5条の許可申請で進めるのが適当です。」
あくまで一つの事例ではありますが、このように 土地の現況が所有者の明確な意思により変更された場合 は、非農地証明ではなく農地転用(5条申請)となる可能性が高いという説明でした。
なお、判断基準や対応は自治体や担当者によって異なる場合もあるため、具体的なケースでは 事前に市町村の農業委員会に確認 することをおすすめします。
5条申請ってなに?
農地法第5条の許可とは、
「農地を農地以外の目的で使うために、農地の所有者が誰かに貸したり売ったりする」 場合に必要な手続きです。
この申請には、以下のような資料が必要になります。
- 現況や用途の説明(理由書)
- 添付資料(公図、登記簿、位置図、現況写真など)
- 土地の所有者・使用者情報
まとめ:手放す前に、現況確認と申請を
「もう畑じゃないから売れるはず」と思っても、登記地目が「畑」や「田」のままだと農地法の制限がかかる可能性があります。
現況によっては非農地証明で対応できる場合もありますが、
駐車場化や資材置き場として使っていた場合は 農地転用(5条)申請 が必要になることが多いです。
行政書士として、非農地証明・農地転用の申請に関するご相談も承っています。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
この内容が、同じようにお悩みの方の参考になれば幸いです。