近年、太陽光発電所や物流倉庫などの建設のために、農地が注目されています。しかし、農地を畑や田んぼ以外に変えるには、「農地転用」という手続きが必要です。特に、「青地」と呼ばれる農地は転用が難しく、許可を得るには様々な条件を満たす必要があります。
農地転用とは?
農地転用とは、農地を農地以外の用途に転換することを指します。具体的には、以下のようなものが該当します。
- 住宅や店舗などの建築
- 工場や倉庫の建設
- 道路や駐車場の整備
- 太陽光発電所の設置
- ゴルフ場の造成
農地転用を行うためには、農地法に基づいて都道府県知事の許可または農林水産大臣との協議が必要となります。許可を受けずに農地を転用、つまり無断転用してしまうと、農地法第64条「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という非常に厳しい罰則があるので注意が必要です。
特に制限が厳しい「青地」
農地の中でも、「農振法」に基づき定められた「農用地区域内農地」は、「青地」と呼ばれ、転用が特に厳しく制限されています。青地は、今後10年以上にわたる農地としての利用を確保するために指定されており、転用するためには「農振除外」**という手続きを経る必要があります。
農振除外は、農業委員会に申請し、厳しい審査を受ける必要があります。審査基準は地域によって異なりますが、以下のような要件を満たす必要があります。
- 農業経営の継続が困難であること
- 代替地の確保が困難であること
- 公共の利益に合致すること
農振除外の許可を得られれば、青地を転用することが可能になりますが、手続きには 1年以上かかる場合もあります。
許可申請は市町村ごとに締め切りあり
農地転用の許可申請は、市町村ごとに月1回の締め切りがあります。締め切りを過ぎてしまうと、翌月の申請まで持ち越しになってしまうため、注意が必要です。
申請には、「農地転用許可申請書」をはじめとする様々な書類が必要となります。書類は市町村によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
自分の農地の場合は「4条許可」、他人の農地の場合は「5条許可」
農地転用には、「農地法第4条許可」と「農地法第5条許可」の2種類があります。
- 4条許可: 自分の農地を転用する場合に必要な許可です。
- 5条許可: 他人の農地を転用する場合に必要な許可です。
5条許可の場合は、農地所有者からの同意が必要となります。
市街化区域の場合は許可ではなく届出でOK
市街化区域内にある農地を転用する場合には、都道府県知事への許可ではなく農林水産大臣への届出で済みます。ただし、届出用の書類を提出する必要があります。
まとめ
農地転用は、様々な規制があり、手続きも複雑です。特に、青地の場合は許可を得るのが難しいため、事前に十分な準備が必要です。
農地転用を検討している場合は、お住まいの市町村の農業委員会に相談してみましょう。
参考情報:
また、農地転用については行政書士が得意とするところです。複雑な手続きに不安があれば、お近くの行政書士に相談してみることをおすすめします。
この記事が、農地転用に関してお役に立てば幸いです。