「離婚したら、家族滞在はもうダメですか?」「再婚したら、家族滞在はそのまま続けられますか?」
このような相談は、実務の中でも比較的多く寄せられます。
在留資格「家族滞在」は、配偶者との婚姻関係や扶養関係を前提とする在留資格です。そのため、離婚や再婚といった身分関係の変動が生じた場合には、在留資格の取扱いがどうなるのか分からず、不安に感じる方も少なくありません。
特に多いのが、「一度帰国しなければならないのか」という疑問です。
この点について結論から言うと、必ずしも帰国が必要になるとは限りません。
もっとも、在留期間の更新で足りるのか、それとも再婚後に在留資格認定証明書交付申請(いわゆる認定申請)が必要になるのかは、離婚・再婚のタイミングや現在の在留状況などによって判断が分かれます。状況を正確に整理したうえで、適切な手続きを選択することが重要です。
この記事では、離婚から再婚という流れの中で、家族滞在がどのように扱われるのかを、「更新」か「認定(原則として帰国前提)」かという視点で整理します。また、外国人在留支援センター(FRESC)と入管の役割の違いについても補足します。
※在留審査は個別事情によって結論が変わります。一般的な考え方として読みつつ、最終的な取扱いは必ず管轄の入管で確認してください。
制度・申請場所(家族滞在の基本)
在留資格「家族滞在」は、就労系などの在留資格を持つ扶養者に養われている配偶者や子が、日本で同居生活を送るための在留資格です。
すでに日本に在留している場合、中心となる手続きは在留期間更新許可申請です。申請先は、住居地を管轄する地方出入国在留管理局(支局・出張所を含む)となります。
在留期間更新許可申請は、一定の条件のもとでオンライン申請も可能です。平日に窓口へ行くことが難しい場合は、オンライン申請が選択肢になることもあります。
また、配偶者と離婚(または死別)した場合、14日以内に配偶者に関する届出を行う必要があります。これは更新や認定とは別の手続きで、まず対応すべき事項です。
更新か認定かを分ける考え方

離婚から再婚までの流れを考える際の判断軸は、大きく2つあります。
1つ目は、扶養関係が継続していると評価できるかどうかです。2つ目は、その扶養関係を時系列で説明できるかどうかです。
離婚後に再婚し、家族滞在としての生活実態が連続していると評価できる場合は、在留期間更新で対応されることがあります。
一方で、離婚から再婚までの期間が長く空き、その間に扶養関係が存在しないと評価される場合は、家族滞在の要件が一度途切れたと判断され、更新ではなく在留資格認定が必要になることがあります。特に、離婚から再婚までの期間が1年を超える場合は、要件が一度途切れたと判断されやすいとされています。
認定が必要と判断された場合は、日本国内での継続手続きではなく、原則として一度出国し、再婚後に改めて入国する流れになります。
必要書類
必要書類は、基本セット(申請書、写真、パスポート、在留カード等)に加え、扶養関係や生活実態を説明する資料が中心になります。
- 戸籍謄本
- 婚姻届受理証明書
- 離婚届受理証明書
- 経緯を説明した書面
- 生活状況が分かる資料
よくある質問(FAQ)
離婚した事実だけで、直ちに在留できなくなるわけではありません。 ただし、離婚(または死別)した場合は、14日以内に配偶者に関する届出を行う必要があります。
個別判断になります。 離婚から再婚までの期間が短く、扶養関係や生活実態が連続していると評価される場合は、 在留期間更新で対応できることがあります。
離婚から再婚までの期間が長く空き、その間に家族滞在の要件 (扶養関係や生活実態)が満たされていないと評価される場合は、 更新ではなく在留資格認定が必要になることがあります。
在留資格認定が必要と判断された場合は、 原則として一度出国し、再婚後に改めて入国手続きを行う流れになります。
あります。 外国人在留支援センターは相談や案内を行う窓口であり、 申請の可否や最終的な取扱いは、申請先となる入管が判断します。
英語で作成された書類については、日本語訳が不要とされるのが一般的です。 英語以外の言語で作成された書類については、日本語訳の添付が必要になります。
まとめ
離婚後に再婚した場合でも、家族滞在がすぐに認められなくなるとは限りません。 在留期間更新で対応できるケースもあれば、在留要件が一度途切れたと評価され、 再婚後に在留資格認定(原則として出国前提)が必要になるケースもあります。
重要なのは、離婚から再婚までの期間や生活実態、扶養関係を、 時系列で説明できるかどうかです。 結論は個別事情によって変わるため、早い段階で事実関係を整理し、 管轄の入管で確認することが大切です。

もし分からないことや判断に迷う点があれば、早めに確認・相談してみてください。





