育成就労制度の導入とその意義

日本の労働市場において、深刻な人手不足が続いています。この問題を解決するために、政府は様々な制度設計を行ってきました。その中でも、特に注目されているのが「育成就労制度」です。本記事では、育成就労制度の背景、目的、そしてその意義について詳しく解説します。

技能実習制度の課題

まず、技能実習制度について振り返ってみましょう。技能実習制度は、元々は人材育成を目的とした制度であり、人材確保のための制度ではありませんでした。しかし、現実の運用においては、人材確保の手段として利用されることが多く、その結果、制度の目的と現実の運用との間に乖離が生じていました。

特定技能制度の導入

このような背景から、特定技能制度が導入されました。特定技能制度は、人材確保を目的とし、特に人手不足が深刻な分野において外国人労働者を受け入れるための制度です。しかし、特定技能制度もまた、従来の技能実習制度に基づいたものであり、対象となる分野が限られているため、制度の運用においてひずみが生じていました。

育成就労制度の誕生

そこで、新たに「育成就労制度」が導入されることになりました。育成就労制度は、人材育成と人材確保の両方を目的とした制度です。この制度の導入により、日本が「選ばれる国」となることを目指しています。

日本が選ばれる国になるために

現在、日本は必ずしも外国人労働者にとって魅力的な国とは言えません。台湾、マレーシア、香港、タイなどの国々が人気を集めており、日本は選ばれにくい国となっています。しかし、育成就労制度を通じて日本が選ばれる国となれば、優れた人材が日本に集まることになります。逆に言えば、選ばれない国には良い人材は入ってこないということになります。

育成就労制度に対する誤解

育成就労制度に対しては、日本人の仕事が外国人に奪われるのではないかという誤解があります。しかし、昨今の人手不足の状況を考えると、外国人労働者が入って来ても人手不足の問題が解消されるわけではなく、その部分について現段階において大きな心配は不要と考えます。

特定技能2号の誤解

特定技能2号になると無期限で働けるとされていますが、これは永住権が与えられるわけではなく、更新が可能であるという意味です。3年、1年または6ヵ月の間隔で更新が必要になります。 更新し続ければ、日本に永住することも可能になりますが、就労ビザであるため、継続して雇用されていることが必須条件です。

育成就労制度は、連続性を持たせた制度であり、技能実習制度では対応できなかった分野にも対応しています。

育成就労制度の特徴

育成就労制度は、分野を増やし、転籍も認めています。ただし、同一の機関で一定期間以上就労した場合に限られます。また、各分野の業務内容等を踏まえ、分野ごとに1年から2年の範囲内で設定されます。

人材育成の観点

人材育成の観点を踏まえ、1年を目指しつつも、1年を超える期間を設定する場合は、昇給や待遇の向上を図るための仕組みが検討されています。また、当分の間、民間の職業紹介事業者の関与は認められません。

監理団体の役割

監理団体(監理支援機関)については、受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与が制限され、外部監査人の設置が義務化されるなど、独立性・中立性が担保されています。

結論

育成就労制度は、日本の労働市場における人手不足を解消し、優れた人材を確保するための重要な制度です。この制度を通じて、日本が選ばれる国となり、持続可能な経済成長を実現することが期待されています。

この記事が育成就労制度についての理解を深める一助となれば幸いです。

行政書士石川将史事務所