障がい者自立支援法は、2006年に制定された、障がい者の自立した生活を支援するための法律です。この法律は、従来の障がい者福祉制度を大きく改革し、障がい者が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指しています。
障害者自立支援法のポイント
障害者自立支援法には、大きく5つのポイントがあります。
- 利用者本位のサービス体系: 障がい種別にかかわらず、必要なサービスを利用できるように、サービス提供の仕組みを整備しました。
- サービス提供主体の統一: 従来は市町村と都道府県が分担していたサービス提供を、市町村が一元的に行うようにしました。
- 支給決定手続きの明確化: 障がい程度区分に基づき、公平・公正な支給決定を行うようにしました。
- 就労支援の強化: 働くことを希望する障がい者への就労支援を強化しました。
- 安定的な財源の確保: 国と利用者が費用を負担し、安定的な財源を確保しました。
具体的な内容
障がい者自立支援法に基づき、障がい福祉サービスと地域生活支援事業の2つの事業が実施されています。
障がい福祉サービスは、介護、訓練、その他の支援が必要な障害者に、個別に支給されるサービスです。介護給付と訓練等給付の2種類があり、利用者の状態や希望に合わせて支給されます。
地域生活支援事業は、障害者が地域で自立した生活を送るために必要な支援を行う事業です。移動支援、日常生活用具給付、コミュニケーション支援など、様々な種類の事業があります。
利用の手続き
障がい福祉サービスを利用するには、まず市町村の相談支援窓口で相談を受ける必要があります。相談支援窓口では、障害の程度や希望などを聞き取り、必要なサービスについてアドバイスを行います。
必要なサービスが決まったら、支給申請を行い、支給決定を受ければサービスを利用することができます。
利用者負担
障がい福祉サービスを利用する場合、利用者は原則として利用料金の1割を負担することになります。ただし、所得に応じて負担が軽減される仕組みもあります。
地域生活支援事業の利用料は、事業の種類や利用者の状況によって異なります。
自立支援医療
障がい者自立支援法では、障がい者医療費に関する公費負担制度も整備されています。従来の「更生医療」、「育成医療」、「精神通院医療費公費」を一本化し、自立支援医療制度となりました。
自立支援医療制度では、医療費の自己負担額が一定の上限に設定されるなど、利用者の負担が軽減されています。
補装具費の支給
障がい者自立支援法では、義肢や装具などの補装具について、利用者に対して費用を支給することになりました。従来の現物支給から費用支給に変更されることで、利用者がより自分に合った補装具を選ぶことができるようになりました。
利用者は費用支給額の1割を負担することになりますが、所得に応じて一定の上限が設けられています。
まとめ
障がい者自立支援法は、障がい者の自立した生活を支援するために制定された法律です。この法律によって、障がい者を取り巻く社会は大きく変わっていきました。
現在では、障がい者自立支援法から、障がい者総合支援法「障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に名称が変わっており。より障がい者に寄り添った内容へと変化しています。
障がい者総合支援法も毎年のように制度を変更し、障がい者並びに、障がい施設で働く従業員にとっても利用しやすいよう改善され続けてます。
これからの障がい福祉サービス事業について、考えるきっかけになれば幸いです。