外国人の在留資格「技能」「経営・管理」ガイド

この記事では、外国人が日本で働くための在留資格について詳しく解説します。特に、「技能」および「経営・管理」に焦点を当て、具体的な審査ポイントや必要な書類について説明します。

「技能」資格は、外国に特有な産業分野や日本の水準より技能レベルが高い産業分野に従事する熟練した技能を持つ外国人が対象です。調理師としての資格取得に必要な条件や審査ポイントについても詳しく解説します。

「経営・管理」資格は、法人の代表や役員、支店長や部長などに従事する外国人が対象です。事業の経営や管理に関する具体的な要件や審査ポイントについても触れます。

さらに、スタートアップビザや特定活動の在留資格についても紹介し、外国人が日本で働くための在留資格の申請手続きや更新手続き、取り消しの理由などについても詳しく説明します。

就労審査第二部門が所管する在留資格

日本で働くための在留資格は多岐にわたりますが、就労審査第二部門が所管する在留資格には以下のものがあります。

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 経営管理
  • 医療
  • 教育
  • 介護
  • 興行
  • 技能
  • 特定活動

この記事では、特に「技能」と「経営・管理」に焦点を当てて解説します。

「技能」資格の該当性

「技能」資格は、日本の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動を指します。具体的には以下のような分野が該当します。

  • 外国に特有な産業分野
    タイ料理、インドネシア料理、フィリピン料理等の外国料理。
  • 日本の水準より技能レベルが高い産業分野
    革製品の加工等。
  • 日本において従事する技能者が少数の産業分野
    パイロット等。

調理師について

調理師として「技能」資格を取得するための主な審査ポイントは以下の通りです。

  1. 日本人と同等の報酬を受けること
    賃金台帳の写し、雇用契約書などが必要です。
  2. 10年以上の実務経験を有しているか
    在職証明書、職業資格証明書、本国稼働先店舗の営業許可、社会保険支払証明書などを確認します。
  3. 日本で稼働先の店舗があるか
    賃貸借契約書、店舗の写真などが必要です。
  4. 店舗の営業実態があるか
    インターネット情報、メニュー表などを確認します。
  5. 就業環境は適正か
    調理場の写真、見取り図などが必要です。
  6. 在籍従業員数は適正か
    従業員リスト、シフト表などを確認します。

審査の具体例

例えば、タイ料理のシェフが「技能」資格を申請する場合、以下のような書類が必要となります:

  • 賃金台帳の写し
    日本人と同等の報酬を受けていることを証明するための書類。
  • 雇用契約書
    雇用条件を明示した契約書。
  • 在職証明書
    過去の勤務先からの証明書。
  • 職業資格証明書
    調理師としての資格を証明する書類。
  • 本国稼働先店舗の営業許可
    過去に勤務していた店舗の営業許可証。
  • 社会保険支払証明書
    過去の勤務先での社会保険の支払いを証明する書類。
  • 賃貸借契約書
    日本での稼働先店舗の賃貸契約書。
  • 店舗の写真
    稼働先店舗の外観や内装の写真。
  • インターネット情報
    店舗のウェブサイトやSNSの情報。
  • メニュー表
    店舗で提供される料理のメニュー。
  • 調理場の写真
    調理場の設備や配置を示す写真。
  • 見取り図
    店舗全体の見取り図。
  • 従業員リスト
    店舗で働く全従業員のリスト。
  • シフト表
    従業員の勤務シフトを示す表。

これらの書類を提出することで、申請者が適切な技能を持ち、適正な環境で働くことができることを証明します。

「経営・管理」について

「経営・管理」資格は、法人の代表や役員、支店長や部長などに従事する活動を指します。具体的には以下のような活動が該当します。

  • 日本で事業の経営を開始し、その経営を行い、またはその事業の監理に従事すること。
  • 日本にすでにある事業の経営または管理を行うこと。
  • 日本で事業の経営を行っている者(法人も含む)に代わり経営、管理を行うこと。

留意事項

  1. 事業の経営または実質的に従事すること
    資金だけ出資し名前だけの社長だと不許可になる可能性が高いです。経営に関する知識、経営状況などに答えられなければ実質的に従事していることにはならず、不許可や更新不可になる可能性が高いので注意が必要です。
  2. 事業の継続性があること
    決算書の提出など、継続性を証明できる資料が求められます。許可を出しても、すぐに事業が潰れてしまう事業と判断されれば許可が下りることはありません。将来性のある事業であることを証明する必要があります。

基準適合性

  • 基準第1号

申請に係る事業を営むための事業所が日本にあること。ただし、当該事業が開始されていない場合には、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていることが求められます。人員と設備、施設の確保がポイントです。自宅事務所が絶対ダメではありませんが、それらのスペースがきちんと確保されていることが重要です。

  • 基準第2号

申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。

  1. その経営または管理に従事する者以外に日本に居住する2人以上の常勤の職員が従事して営まれるものであること(法別表第一の上欄の在留資格を持って在留する者を除く)。
  2. 資本額または出資の総額が500万円以上であること。この資金の出どころを問われます。どう集めたか、貯めたのか。見せ金ではないことの証明が求められます。
  3. 1または2に準ずる規模であると認められるものであること。
  • 基準第3号

申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営または管理について三年以上の経験を有し、かつ日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額の報酬を受けること。

審査の具体例

例えば、外国人が日本で新たにレストランを経営する場合、以下のような書類が必要となります。

  • 事業計画書
    事業の概要、目標、戦略を記載した計画書。
  • 資本金証明書
    資本金が500万円以上であることを証明する書類。
  • 賃貸借契約書
    事業所の賃貸契約書。
  • 従業員リスト
    常勤の従業員が2人以上いることを証明するリスト。
  • 決算書
    事業の継続性を証明するための決算書。
  • 経営経験証明書
    過去の経営経験を証明する書類。
  • 報酬証明書
    日本人と同等の報酬を受けていることを証明する書類。

これらの書類を提出することで、申請者が適切な経営能力を持ち、事業の継続性があることを証明します。

その他の在留資格

スタートアップビザ

スタートアップビザは、外国人が日本で新たに事業を開始するための特別な在留資格です。以下のような特例があります。

  • 国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業
    コワーキングスペースなどを一定の要件のもと事業所とみなすことができます。これにより、初期の事業運営が容易になります。
  • 外国人企業活動促進事業
    一定の要件のもと特定活動の在留資格での入国・在留を認める制度があります。この制度では、1年から2年に延長されることがあります。

特定活動

特定活動の在留資格は、特定の活動を行うために必要な資格です。例えば、スポーツ選手やアーティストなどが該当します。特定活動の在留資格を取得するためには、以下のような要件があります。

  • 活動内容の詳細な説明
    申請者が行う活動の詳細を説明する書類が必要です。
  • 活動の実績
    過去の活動実績を証明する書類が必要です。
  • 報酬の証明
    日本人と同等の報酬を受けていることを証明する書類が必要です。

在留資格の申請手続き

外国人が日本で働くための在留資格を申請する際には、以下の手続きが必要です。

  1. 申請書の提出
    在留資格申請書を作成し、必要な書類とともに提出します。
  2. 審査
    提出された書類を基に審査が行われます。審査には数週間から数ヶ月かかることがあります。
  3. 許可
    審査が完了し、許可が下りると在留資格が発行されます。
  4. 更新
    在留資格は一定期間ごとに更新が必要です。更新手続きも申請と同様に行います。

在留資格の更新手続き

在留資格の更新手続きには、以下の書類が必要です。

  • 更新申請書
    更新申請書を作成し、提出します。
  • 現在の在留資格証明書
    現在の在留資格を証明する書類を提出します。
  • 雇用契約書
    雇用契約書を提出し、雇用条件を証明します。
  • 報酬証明書
    日本人と同等の報酬を受けていることを証明する書類を提出します。
  • 事業の継続性を証明する書類
    決算書など、事業の継続性を証明する書類を提出します。

在留資格の取り消し

在留資格は、以下の理由で取り消されることがあります。

虚偽の申請
虚偽の申請を行った場合、在留資格が取り消されることがあります。

  • 活動内容の変更
    申請時に申告した活動内容が変更された場合、在留資格が取り消されることがあります。
  • 報酬の不適正
    日本人と同等の報酬を受けていない場合、在留資格が取り消されることがあります。

在留資格の変更

外国人が日本で働く際に、活動内容が変更された場合には在留資格の変更手続きが必要です。変更手続きには以下の書類が必要です。

  • 変更申請書
    変更申請書を作成し、提出します。
  • 現在の在留資格証明書
    現在の在留資格を証明する書類を提出します。
  • 新しい活動内容の詳細
    新しい活動内容を詳細に説明する書類を提出します。
  • 報酬証明書
    日本人と同等の報酬を受けていることを証明する書類を提出します。

在留資格の取得に関する注意点

外国人が日本で働くための在留資格を取得する際には、以下の注意点があります。

  1. 正確な情報の提供
    申請書には正確な情報を提供することが重要です。虚偽の情報を提供すると、在留資格が取り消される可能性があります。
  2. 必要な書類の準備
    必要な書類を事前に準備し、提出することが重要です。書類が不足していると、審査が遅れる可能性があります。
  3. 報酬の適正
    日本人と同等の報酬を受けていることを証明する書類を提出することが重要です。報酬が不適正だと、在留資格が取り消される可能性があります。
  4. 活動内容の変更
    活動内容が変更された場合には、速やかに在留資格の変更手続きを行うことが重要です。変更手続きを怠ると、在留資格が取り消される可能性があります。

まとめ

外国人が日本で働くための在留資格には多くの要件と審査ポイントがあります。これらの要件を満たすためには、詳細な書類の準備や正確な情報の提供が必要です。特に「技能」資格や「経営・管理」資格を取得するためには、専門的な知識と経験が求められます。

申請手続きや更新手続き、在留資格の変更など、複雑なプロセスをスムーズに進めるため、常に最新の情報を収集し、皆さんを全力でサポートしたいと考えています。この記事が、在留資格に関する理解を深める一助となれば幸いです。

行政書士石川将史事務所